わたしゃ、ネグロ河生まれ、体長35センチメートル、体重2.8キログラムの黒ピラニアでござんす。1990年の暮れも押しっまる頃、ここのボス(館長。上州生まれのせいか先生と呼ぷと機嫌が悪い)に釣り上げられ、以後、アマゾン自然博物館の4トン水糟に押し込められて、何万人と云うツーリストの晒し者にされているんでござんす。

 何度か仲間を入れられやしたが、本能の赴くままに、みんな、わちきが、喰い殺してしまう為、ここ1年余りは、いっも一人、否、一匹でござんす。向かい合いの200トン水槽には、3頭のピラルクーさんが仲よく泳いで、ツーリストの皆さんの喝采を浴びていやんすが、わたしゃ恐る恐る見られているんでござんす。

 そんな訳で、少々ひがみっぽくなってしまいやしたが、天上天下唯我独尊、三つ子の魂百までもと一人孤独に酎えていやんす。来館の節は、わちきもお忘れなく、よろしゅうお頼み申します。口調が、ヤクザっぽいですと。申し訳ござんせん。良く犬やネコは飼い主にその気質が似るといいやすが、わちきもその伝で、上州生まれのボスの侠気が移ってしまったようでござんす。

 なに、「狂気であろう」ですと。減相もござんせん。しかし、わちきも見られているばかりではござんせん。良くごらんになって頂くと分かりやすが、赤いいろっぽい目をしておりやす。その目で、ゲストの皆さんをわちきなりに観察しておりやんす。そこで今回は、つれづれなるままに書き留めた日記を特別に公開いたしやす。もとより天上天下唯我独尊、独断と偏見は十八番。時にはグチも混じりやすが、そんなときは、笑って許しておくんなせえ。